人口統計内容から見る函館の衰退

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ベイエリアから函館駅前方面の夜景。

本日の朝刊で、国勢調査の速報が報道されていた。道南の人口減が加速している、特に函館は全道の市町村の中で最も人口が減少した自治体となった。まぁ、これはある程度予想されていたのだが、まさか全道一とは思わなかった。この程度の人口の都市で、たった5年間で15,154人も減少するのは異常とも言える。
この人口の減少数は、江差町と上ノ国町の両町から人が全くいなくなったのに匹敵する。二つの町がゴーストタウンになってしまったということだ。

ところが、面白い数字がある。これは函館のみならず、全国的な傾向であるが、人口は減っているのだが、世帯数は増加しているのだ。函館市の住民基本台帳の人口統計を調べると、それがよくわかる。

昭和59年(1984年)から平成21年(2009年)までの25年間の特徴ある数字をご紹介しよう。まず、世帯数だが、84年の117,502世帯に対し、09年は142,438世帯となっているが、途中で平成の大合併を実施して約7,000世帯加わっているのを差し引いても18,000世帯増加していることになる。この間に総人口は(これも合併した町の人口を差し引いた推定値として)6万人以上減少している。6万人減って1万8千世帯増えているのだ。

人口が減って世帯数が増えると、当然一世帯当たりの人口は減少する。84年の2.74人に対して、09年は2.00人大幅に少なくなっている。また、女100人に対する男の人口が、84年が90.6人であるのに、09年には84.6人となっている。
また、函館には統計はないが、他都市では、一人当たりの占める住宅の床面積は年々上昇を続けている。

さて、これらの数字からどんなことが見えてくるのか。
まず、誰にでも簡単にわかることとして、隣の七飯町や北斗市への人口流出だ。国勢調査の両自治体の人口は増加している。10年間で、北斗市は1,672人、七飯町は112人増加している。何だ、たったそれだけかと思うかもしれないが、この低い出生率の中において、人口が増加するという自治体は「伸び行く街」なのだ。
北海道でも微増ながらも人口が増加している都市は、苫小牧・千歳・恵庭、そして札幌だけだ。それ程現代の少子化と一極集中は顕著である。だが、それにしても函館の人口減に数には遠く及ばない。参考までに平成20年の函館市から北斗市への転出と、北斗市から函館市への転入の差は246人であった。それで、10年間で26,201人減るという決定的原因とは言えない。もちろん一因であるが。
そこで、女100人に対する男の人口の減少を見る。この現象には二つの原因が考えられる。ひとつは高齢者の男性の死亡が多く、女性だけが取り残されているという原因と、就職・転職・進学での男性人口の流出である。進学しても戻ってくるのならいいが、函館には仕事が無い。あっても給料が恐ろしく低い。仕事への将来性を考えると、特に男性は函館には住めないと判断してしまうのか。

また、一世帯あたりの人口が減少していることについても、様々な原因が考えられる。少子化はもちろんのこと、寿命が長くなったことによる独居老人世帯の増加、離婚の増加による世帯増、独身でも親から独立して住んでいる若者の増加などが考えられる。
それに加えて、一人当たりの占める住宅の床面積の増大という要素が加わると、たとえ人口が減少したとしても、既存市街地に広めの新たな住宅を建てると、世帯数の増加を考えれば、空洞化が起きにくいと思えるのだが、実際はそうではない。新規造成地ができるために、世帯もそちらへ移動してしまう。

こうなったら、街が廃れるスパイラルにすっぽり嵌ってしまっていると言わざるをえない。そして、新たにできる街も機能が充実しているわけではない。つまり街全体が機能不全となってしまうということだ。
それは高齢者にはきつい。そこで高齢者でも日常生活により便利な札幌などに子供がいたら、そちらに身を寄せてしまう。そしてまた、函館の人口は減少する。地方都市の衰退の方程式にぴったり当てはまっている。

だが、函館の場合、それだけではない。もうひとつ違う原因があると考えられる。詳しくは別の機会にご説明したいが、ひとことだけ言うと、「人間の業」である。


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by jhm-in-hakodate | 2011-02-16 00:09 | 函館の現状について | Trackback | Comments(6)
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Commented at 2011-02-16 18:54
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ayrton_7 at 2011-02-16 22:35
私の家では日経を取っているので、まだ速報値を見ていませんが、jhmさんの記述から気になって検索してみました。
毎日新聞の記事が出てまいりました。http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20110215ddlk01040288000c.html
函館市の減少数はjhmさんの言われる数値なのですが、北斗市は60人の人口減、七飯町は44人の人口増となっています。
函館市に通勤する人の郊外化が、函館の人口減の大きな要因と想像していたのですが、ここ5年間に関しては自然減と函館通勤圏の外への社会減が大きかったことがわかります。15000人のうちの自然減と社会減の内訳が、どうなっているのかみていないので、なんとも言えないのですが函館は道内平均よりも老齢化が進んでいます。したがって自然減も相当数あるはずです。
Commented by ayrton_7 at 2011-02-16 22:41
自然減も確かに大きかったかもしれませんが、やはり
仕事を求めて函館から人が流出している=社会減が尋常でないほど大きかったことを表しているように思われます。
真剣に雇用の創出を考えないといけません。
Commented by ayrton_7 at 2011-02-16 22:52
全国の市 人口ランキング などというウェブがありました。
http://rnk.uub.jp/rnk/rnk.cgi?T=c&S=k
眺めていると時間を忘れそうです。
Commented by jhm-in-hakodate at 2011-02-17 01:51
hidemaro2005様、NGワードという言葉で、ひょっとしたら同じかなと思いましたが、近日中に書くと思いますので、その時またコメントください。
Commented by jhm-in-hakodate at 2011-02-17 02:03
ayrton様、北斗市と七飯町の増減は10年間の数字です。函館市の15,154人の減少は5年間でありますので、記事中盤の数字は誤りでありました。訂正しております。申し訳ありませんでした。
私も函館圏以外に就職した人が多くなっていると想像しております。また、総人口に対する高齢者の割合が、道内で最も高いのが函館だった小樽だと記憶しております。本当に若い人が希望を持って働ける街にしなければなりませんね。