函館市都市景観条例のわからないところ
ここ連日、西部地区の建築物についてリポートなりをしていて、ふと疑問に思ったことがあった。
それは、例えば写真の建物は景観形成指定建築物でも伝統的建造物でもないが、都市景観形成地域内において、指定建築物でなければ自由に解体できるのだろうか?そんな疑問であった。
そこで早速函館市都市景観条例を調べてみた。すると、
第13条 都市景観形成地域内における次に掲げる行為(第19条第1項各号に掲げる行為を除く。)については,法第16条第1項の規定により,市長に届け出なければならない。
(1) 建築物等の新築,増築,改築,移転もしくは除却,外観を変更することとなる修繕もしくは模様替えまたは色彩の変更(以上、函館市都市景観条例からの抜粋)
と、なっていた。つまり解体する時は、市に届出をしなければならないのだ。届出をしたらどうなるのだろうか?
第15条 市長は,第13条第1項各号に掲げる行為について法第16条第1項または第2項の規定による届出があった場合において,当該届出に係る行為が景観形成基準に適合しないと認めるときは,当該届出をした者に対し,必要な措置を講ずるよう助言し,および指導するものとする。
2 市長は,前項の規定による指導を受けた者が当該指導に従わないときは,法第16条第3項の規定により勧告するものとする。
3 市長は,前2項の規定により助言,指導および勧告をする場合において,必要があると認めるときは,函館市都市景観審議会の意見を聴くことができる(以上、函館市都市景観条例からの抜粋)
その解体ちょっと待て!と言っても、最初は助言・指導程度なのだ。それで従わなければいよいよ勧告なのだが、何を勧告するのかよくわからない。
例えば今回の解体の場合、仮に解体するなと勧告したとして、もしそれにも従わない場合に何も罰則等のものがなければ、指導と何ら変わりがない。勧告というのは、従わなければ罰ないし解体差止めの強制執行をしますよ、というものであると思うのだが、無意味な手続きをとっていると言わざるを得ない。
そして、届出があったら市HPなりに公表すべきである。少なくとも市民の税金で作業処理を行っているのだから、至極当然だと思うのだが。
もうひとつ、(本当はもっと挙げたいのだが)わからないところは、どうして都市景観形成地域が元町の途中で終わっているのか、という点だ。その地図はこちら → 都市景観形成地域/ゾーン図
ご覧の通り、ほぼ二十間坂で終わっている。しかし、函館においての景観を形成している建物等は青柳町方面にもたくさんある。函館公園も市民が作った全国的にも珍しい公園であり、四季の風情を堪能できる場所として貴重な存在である。函館公園に至るまでの青柳町・宝来町の建物群も素晴しい。函館の文化を象徴する建物が数多くある。
それにも拘らず、どうして指定していないのだろうか?観光客があまり行かないから必要ではないのだろうか?そもそも、都市景観形成地域は観光だけを目的としたものなのか?
わからない。本当にこの条例はわからないことだらけである。来年改定が行われると聞くが、指定地域の見直しも必要と切に願う。個人的には、大門から函館山よりは全て都市景観形成地域に指定してもいいと思っているくらいだ。
こんなことを言っている間にも、我々市民には知られることもなく、事が進んでいるものもあるかもしれない。困ったものである。
いつもお読みいただきありがとうございます。どうか二つのクリックお願いします。(笑)
弥生小学校の話が出ましたが、青柳小学校も的場中学校もそうなんですよ。
誰もそれを言わない。
些か場当たり過ぎるのでは(弥生、その前の東川小学校の反対運動も)。
弥生少学校から西側も面白いところですね(実は函館で一番好き)。
前の記事でも触れましたが、街全体のグランド・デザインが市民に共有されないと。
その点で、jhmさんのブログは貴重な発信をされています!
「概念」からはじまると、今イライラする物も、あらかた解消すると思うにですが、函館に限らず、「どう有り様を持つのか」というはじめの概念の共有がないところから、物事はなにも上手く行っていません。 それが残念な一面です
でも、本当にできる時は、あまり好ましくないですが、全てを失った時かもしれません。その必要性がないような公共心をどれだけ市民が持てるかにかかっていると思います。
でも、確かにそれは全ての面に現れており、かえって問題を深刻なものにしているような気がします。
ですが、内容からして大変面白そうだったので、しっかり読み、コメントいたします。