駅前・大門は売ビルだらけ

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函館駅前の風景。2009年9月撮影。

仕事柄、不動産の売物件情報はよく見る。不動産情報サイトだ。先日、たまたま新川町方面の物件を探した時、ついでに若松町や松風町の情報も見てみようと、当該地域を調べた。特別な意味はなかった。ただ少し時間の余裕があり、何となく調べただけだった。
ところが、検索で出て来た結果に目が釘付けとなった。

こんなに売物件が並んでいるなんて!驚いた。空地が売りに出ていても驚きはしない。駅前・大門地区に空地が「売るほど」あるのは知っているからだ。
だが、それより多い件数の売ビルが出ていたのだった。

普通は住宅地の情報検索を行うため、いつから売りに出ていたのかは不明だが、よくもこんなにたくさん物件があるものだと、唖然とした。
一応、主な物件をリストアップしてみたので、ご紹介する。情報は公表されているため、ビル名もそのまま紹介する。

まず、最も大きなビルは、祇園通りの「ラックスビル」だ。主に飲食店が入っているビルだが、2億1千万円で売出されている。
次に、驚いたのが、大門広小路沿いの物件の多さだ。全て電車通りから新川町方面に所在している。
1.ビル名は不明だが、「フラッシュバック」という店舗の隣の4階建のテナントビル、9000万円。
2.同じ並びの若松広路(函館中央郵便局のある通り)すぐ近くの「函館一洋ビル」、1・2階が店舗事務所で3階より上が居住用室の6階建てで、7000万円。
3.広小路反対側の2階建て店舗ビル、1300万円。

その他にも、大森一番通り(まるきん焼きそばがある通り)のイーグルビル、1250万円。電車通り(駅前~松風町)の棒二森屋近くの「キャピトルビル」3階建て、1550万円。
そして、遂にと言うか、ホテルも公開販売されている。駅から海岸町方面に向かって左側にある、ホテルシャロームイン2、6300万円である。通常、ホテルのような大規模な物件は販売を公開されないものだが、そんなことも言ってられないということなのだろうか。

売土地も多い。そして気になるのが販売価格だ。駅前繁華街でありながら、最低16万円/坪から高くても38万円/坪程度のものだ。中間の25万円/坪というものもある。16万円から25万円であれば、一般の住宅地とそんなに変わらない坪単価である。

このような傾向は、函館が典型的な衰退型地方都市になっていることを表している。

このような街を、今までどれだけ見てきたことか。駅前が廃れて、郊外に新たにできたロードサイド店舗に人気が集中する。だが、街全体としては衰退の一途を辿る。高齢者は、車がなければ生活できない不便さを痛感し、都会に住んでいる子供の近くに引越する。そして街はさらに廃れる。

先程ホテルのところでも触れたが、普通、商業用地や商業ビルは世間に公表せずに、水面下で販売活動や取引が行われるものだ。それも不動産会社の仕事のひとつである。物件所有企業のプライバシーを守るためである。
だが、なりふりかまわず公開販売しているということは、買い手が見つからないということだ。それほど病んでいる。本州とは言わない。北海道の都市を全部回ってみると、このような状態がいかに危機的かをよく知ることになるだろう。決して大袈裟なのではない。札幌以外は全て函館と似たような状態だ。

繰り返し言うが、徒歩で生活できる地域を失うということは、街の衰退を意味する。郊外型の新しい店舗ができたら品揃えも良く便利になると思ったら大間違いだ。車で10分の距離を歩いてみるとわかるだろう。徒歩では30~40分かかる。
車での移動時間を基準に考えた街づくりをすると、そこに高齢者は住むことができなくなる。地方都市の衰退は、若者の就労者数が減少することから始まるが、高齢者が街を捨てなければならなくなって決定的となる。つまり、便利を基準にすると、生活ができない地方都市になってしまうということだ。そして、残念ながら、私たち函館市民は、現在のところはそれを選択している。


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by jhm-in-hakodate | 2011-08-01 00:47 | 函館の現状について | Trackback | Comments(6)
Commented by ayrton_7 at 2011-08-01 14:13
jhm-in-hakodateさんは誤解されている。
私は、西部地域が負けで新市街地が勝ちだとは言っていません。
もっと大きなスケールで、函館が他の都市との競争の中にいると言うことです。
jhm-in-hakodateさんは、いつも新市街地を敵対視していらっしゃるように見えます。
その発想は非常に狭い見方であると思います。
新市街地も旧市街地も同じ函館市と一つの経済主体として考えなければなりません。
Commented by ayrton_7 at 2011-08-01 14:49
駅前が街の中心であるという発想は、正しくありません。
こちらのブログのコメントで何度も述べて来ましたが、駅前が街の中心であるという発想は間違っています。
この議論は3点で誤っていると思います。
第一に街の中心にも様々なランクがあります。
歩いていける範囲での街の中心と都市のビジネスの中心となる地域は、中心機能のランクが異なっています。
jhm-in-hakodateさんの言われる歩いていける範囲というのは近隣住区と呼ばれる単位で、函館駅前はそれには該当しないと思います。
第2に、街の中心は移動しなくてはならないなどという拘束はないはずです。函館の場合、ビジネスの中心となる中央業務地域(いわゆるCBD)が移動しただけなのです。
第3に、函館駅は市民生活のアクセスの拠点としての機能を果たしていません。函館市民のどれだけの人が普段の生活にJRを使うのでしょうか?
Commented by ayrton_7 at 2011-08-01 15:02
私個人としては、旧市街地の方に魅力を感じます。
しかし旧市街地も、jhm-in-hakodateさんの言われる『物と金』を欲しがる活動の中で生まれた町並みではないですか?

jhm-in-hakodateさんとは、敵対するつもりはありません。
現在、目の前に起こっている現象をとらえ、この街に住んで良かったなぁと言える函館にするには、どうしたらいいのかjhm-in-hakodateさんと一緒に考えたいと思っています。
Commented by hirune-neko at 2011-08-01 22:36
こういう、函館に特化したブログがあることを知り
嬉しく思っています。
両親が室蘭の生まれで、私自身は高校まで住みました。
現在は、神奈川県川崎市在住です。

港町が好きで、函館は日吉町に親戚が住んでおり
数年前に、ほんの1週間ほど滞在して
函館市内で営業し、結果は全滅で青森に渡りました。

函館で一番印象に残っているのは
雪深い階段を上り、男子トラピスト修道院の
入り口まで行き着いて、振り返った時の景色です。
見下ろす海は灰色でしたが、心に残る景観でした。

小樽、神戸、横浜など、とにかく港町が好きです。
どうか続けてください。
またお邪魔します。
Commented by jhm-in-hakodate at 2011-08-04 00:00
ayrton_7様、お返事大変遅くなりました。
私も敵対するつもりはありませんが、ちょうど函館の総体的な課題に関して、一度整理してブログ記事にした方がいいと思っていたところでしたので、明日から私の考えを2~3回にわたって述べたいと思います。
どうかお読みいただければ幸いです。
Commented by jhm-in-hakodate at 2011-08-04 00:03
hirune-neko様、初めまして。
応援いただきありがとうございます。色々な場所の函館を撮った写真も掲載していますので、それもどうぞご覧になってください。