イオン待望論について

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乙部。

最近、にわかに駅横の1万坪の土地にイオンをという待望論が湧き出ているようですが、いつもながら天邪鬼な私には「???」という記号が頭の中を渦巻いてしまいます。
確かに以前「イオンを街の真ん中に」という記事で、“イオンのようなもの”という表現で大規模複合商業施設が駅前・大門にあればいいと記事にしましたが、イオンでなければならないとは一言も言いませんでした。むしろ、私はイオンに代わる地元発の施設ができればいいと思っておりました。

ところが、東急ハンズの時もそうでしたが、名がある企業は大歓迎するのですが、地元内部からそのようなものを作ろうという気運が全く感じさせませんでした。今ではスーパーストアー業界の雄となっているイオンですが、元々は三重と大阪と兵庫にあった呉服店が合併して「ジャスコ」を発足させ、独自の企業戦略で全国に拡がって行った会社です。そうです、最初はちょっと大きいお店程度のものだったのです。

今や全国No.1の調剤薬局チェーンのアインファーマシーズ(札幌本社)も、ツルハとサッポロドラッグストアの隙間で細々と経営していた中堅企業だったのです。それがどうして全国No.1になったのかというと、これもまた独自の店舗企画を行ったからです。
これも記事にしています。⇒「アルバイトのアイディアで東証一部企業にした社長

そうです。イオンもアインも最初から大きかったわけではないのです。それまで世の中になかった発想で事業を推進し、現在の位置があるのです。その発想は、「無いものは作ればいい」という発想です。
だから、イオン待望論が出るととてもがっかりします。無ければ作ればいいのでは?例えば、これだけもう客足が減少している駅前なのだから、ボーニ森屋を全て解体し、特別に市道を払い下げして分断されている本館・アネックス・駐車場をひとつの敷地にして大規模店舗を作り、デパートとスーパーの混合施設及び娯楽施設にしてみるというのもひとつのアイディアです。駐車場は向かいの空地を立体駐車場にしてそこから連絡通路でつなぐと店舗面積は大きくなる。
もちろん経営母体などの点から、そう簡単な話ではないし、実現するためには相当な高いハードルがいくつも待ち構えているでしょうが、一番残念なのは、冗談でもいいからそんな話題を真剣に話し合う風潮がないということです。

コンパクトシティーを函館が目指すことには賛成です。ですが、そのためには土地の有効利用もひとつの課題となります。駅横の商業施設用地やボーニなどの地域は商業地域というものに指定されており、容積率が400%であったかと思います。これは土地の面積の4倍までの床面積を擁する建物を建てることができるということです。もし隣地の容積率譲渡を受けることができたなら、もっと大きな建物を建築することも可能となります。

あとはアイディアです。その点でも「環境」は関西や札幌が整っていたのでしょう。それでは函館は?
私たちは、ずっと同じ海域にいて、ただ魚が来るのを待っているだけなのでしょうか?同じ場所にいなければならないとしたら、そこを漁場にすればいいのではないでしょうか。そんなことを考えたりもします。

別にイオンの進出に反対というわけではありません。ですが、地元の商業を守りたいのなら地元でイオンなどに匹敵する何かを創ることを考えることが最も適切なのではないかと思うわけです。
そのようなことができる街になったなら、きっと低迷を続ける函館経済にも突破口を見出す力と発想を持つことが可能になると思います。
といいますか、また昔の話で恐縮ですが、昔の函館はある意味街の実験場であったような気がします。よく日本初の〇〇というものが随所にありますが、それが街の繁栄への好循環になっていたと思います。

いつしか街は守りに入ったのかもしれません。ですが、多くの企業がそうであるように、守りに入ると、その先には「衰退」という未来が待っているだけなのです。古い建物を好んでいる筆者がこんなことを言うのは矛盾していると思われるかもしれませんが、欧米のように、函館以上に古い建物を保存しながらも経済をリードしている国は多くあります。
入れ物と中身は別だということです。



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by jhm-in-hakodate | 2012-06-02 00:38 | 函館の現状について | Trackback | Comments(8)
Commented at 2012-06-02 20:51 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by gokuriapple at 2012-06-02 21:00 x
函館にはハセストやラッキーピエロのような独自性を持った大手チェーンに負けないお店があるのですから、
他では無いような函館らしい文化を持った大型店ができると良いのですが...
昔、函館の長崎屋がオープンする時、たまたま函館を訪れていました。
ちょうど開店記念式典に来ていた竹脇無我さんと藤真利子さんに五稜郭で会いました。
今はその長崎屋もありませんよね。
イオンが来ても、東急ハンズが来ても同じかもしれませんね。
私の住む地域にもイオンがいくつかありますが、どこのイオンに行っても同じ店が出店していて面白みに欠けます。
最初はいいのですが、だんだん足が遠のきます。
Commented by jhm-in-hakodate at 2012-06-02 21:58
残念ながらハセストはセイコーマートの傘下となっております。
仰るとおり、地元の特色を活かした大型店ができるのが最も歓迎されることです。それで初めて経済の地盤が強くなったと言えると思います。
Commented by jhm-in-hakodate at 2012-06-02 21:59
鍵コメントさん、お待ちしていますが、むりをせずに(笑)
Commented by さちこ at 2012-07-31 12:53 x
はじめまして。
東雲町で生まれ、幼少時に東京に移り、現在はイオンだらけの千葉県に住んでいます。
船橋イオンのオープンも見ました。
どこを車で走っても、イオンにたどり着きます。
確かに便利といえば便利ですが、イオンが新しくできると、
周辺道路は常に駐車場街の車で渋滞し、イオンの外観は地域色を一気に消してしまいます。
イオンスーパーで売っている食料品は、廉価の質の低いものばかり。料飲店は型にはまっている。
あまりにも味気なくて、だんだんイオンを避けるようになり、今ではイオン以外の施設ができるととても嬉しく感じるようになりました。

函館には、かつての廉売のような味のある施設が
あったらいいなあ。。
Commented by jhm-in-hakodate at 2012-08-01 10:51
さちこ様、同感です。
地方が、訪れる人、住む人にとって面白い街になるには、独自の誇れるものが必要です。
Commented by てっちゃん at 2012-08-01 20:06 x
長崎屋のオープン当初、そこでアルバイトしていた、てっちゃんです(笑)

現在は、さちこさんの地元と同じようにイオンだらけの愛知県に住んでます。車で30分圏にどれだけあるんだろう、てくらいあちこちにイオンがあります(^_^;)

イオン待望論・・・私みたいな地元を離れた人間が口出しするのは、何かはばかるものがあるのですが
外の名のあるものをもってくれば、何とかなるだろうみたいな
何か安易な気がします

長崎屋もイトーヨーカドーもダブルでオープンして、結局両方無くなったのは
函館の人たちが望んでいたのは、外資?ではなく、函館らしい何かを求めていたからなのかもしれません




Commented by jhm-in-hakodate at 2012-08-02 12:28
てっちゃん様、函館西武デパートがいい例ですよね。
函館の人は、一度地元を離れて、都会に何年か住んで、「大手」と呼ばれるものに飽きてから戻ってくると、何を大切にしたらいいのか、理解していただけるのではないかと思っています。