教会坂のヘルメデス

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オープンカフェと山盛りのパスタと漆喰の壁と
色褪せたシャガールとジャスミンティ
教会坂から吹き下ろす風で、誰かの目には
木枯らしと痩せ細った野良犬の引き摺った後ろ足

窓から見える洋館の絵画は、レミウスの後ろ髪を引張り
力ずくで彼女にドレスを着せる
宙に浮いた白髪がきらりと輝く
レミウスはそれを拭き飛ばし、微笑む
「キレイでしょ」

ヘルメデスは道端の薔薇が紡ぐカチューシャ拾い上げ
レミウスにそっと差し出すが
レミウスはそれをスカートのお尻に着け、
腰を振りながら、「これがここの掟なの」と笑う

ヘルメデスは慌てて公衆便所に逃げ込み
鏡に映るレミウスの裸身をティッシュペーパーで拭くが
振り返ると教会坂の陰から赤いブルドッグが走って来た
にやけた自転車はスキップをしていく

ジャズは滑らかにヘルメデスの頬を舐め
皺くちゃになった煙草に火を点けようとすると
交通誘導員が、
「やめときな、実は今はメンデレスゾーンの時間なんだぜ」

やぁ、ここは宴の国かい?ヘルメデスは尋ねる
違うわよ、ピエロが人知れず死んで行く街よ
レミウスはそう答え、螺旋階段をよじ登り、足には靴擦れが
「ても大丈夫よ、あなたが好きなお尻は綺麗だから」

ようこそ、教会坂へ!
素敵な香りとつぶらな太陽と潜水服と壊れたバケットと
私があなたをお待ちしてますわ




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by jhm-in-hakodate | 2014-12-04 22:57 | その他雑感 | Trackback | Comments(0)