赤いブルドッグ

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沙耶子は日傘を肩に掛け ワンピースのスカートの裾がめくれていた
子供が笑い ガードレールが曲がり 傘には汗が降ってきた
門番が お嬢さん、とまで言い 口をつむぐ
ドブから這い出たカメラマンは 太陽にレンズを向けて曰く
駄目だ ストロボが届かない
すぐ近くの元町の坂を 赤いブルドッグが駆け下りていく

沙耶子は傘を捨て スプーンをオールにして 大森浜から沖へ向かう
老婆は涙ぐみ ご飯仕度がなければ 私も行くのにと悔やむ
監視員が叫ぶ 近海で人間を密漁してはいけない
馬搬送車の運転手は 慌てて幌を密封するが幌は透明だ
いいかい旦那 ちょっと聞きなよ
この街のテトラポットは 赤いブルドッグの骨でできているんだぜ

沙耶子は結局泳ぎ 暖かい川が流れる岸に着くと鎮痛剤を飲む
ベルボーイが迎え チップをくれるか 服を引きちぎられるか
どっちなんだと心で思い 笑顔で沙耶子を担いでいく
コーヒーサーバーを首からぶら下げた 市議会議員は
いいんだぞ これに金を入れても
大丈夫だ心配するな 赤いブルドッグには気づかれやしないから

沙耶子は星の形をした 公園に搬送され 櫓で鐘を叩く
布団に包まった男は 転がりながら叫ぶ ゴジラが降って来る
慌てて警官が男の口を塞ぎ 気持ちはわかるがなと言う
壊れたガラス窓から 少女が顔を出し 血みどろの笑顔で
花瓶を放り投げ 両手を叩いて喜ぶ
すると少女の背中から 赤いブルドッグが走り去って行った

沙耶子はパジャマに着替え 東の山に三段跳びで登っていく
牛の背中から吹く風は くびれを舐めて 東の山で渦を巻く
風は人が息をする度に 色は七変化 針まで飛ばす
町内会長は 市役所の年金相談員に抗議する 何とかしろ
困ったわ では はっきり言うけど
何でもかんでも全部 赤いブルドッグのせいなんですよ 


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by jhm-in-hakodate | 2011-06-01 23:30 | その他雑感 | Trackback | Comments(2)
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Commented by hidemaro2005 at 2011-06-02 00:37
BEATLES のA day in the life をちょっと連想しましたw ただ、「赤いブルドッグ」が何なのかは、わかるようなわからないような曖昧な感じなのですが。
Commented by jhm-in-hakodate at 2011-06-02 08:16
hidemaro2005様、曖昧でいいのです(笑)村上春樹がクロニクルや羊男の種明かしをしないように、私もしません(笑)
私はBob Dylanで育った人間ですので、このような文章が好きなのです。John LennonもDylanの影響を受けていますので、雰囲気が似てしまうのかもしれませんね。