試練の街、函館

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ベイエリア。

何か大袈裟なタイトルを付けてしまったが、これは私にとっての函館のことだ。函館が試練に立たされている(そういう部分も確かにあるが)という意味で使ったわけではない。個人的なことだ。

振り返ってみると、函館での生活は辛いことの方が多かったかもしれない。まず、貧しい。函館で余裕を持って暮したという記憶はない。食料品はスーパーでも最低のものばかり選んでいた。車を函館で買ったのは、たったの一度だけだ。それもその前に乗っていた車が動かなくなり、仕方なく買った5万円のオンボロの軽自動車であった。
だから、私が函館で乗っている車は、なぜか札幌ナンバーであったり、新潟ナンバーであったりした。現在も他都市のナンバーの車に乗っている。

函館にいる時は、いつも貧乏である。
営業マンは、その仕事柄、昼食を外でとるのが好ましい。そういう仕事であり、それくらいの収入がなければならない。ところが、函館は営業マンが車の中で手弁当を食べていても、全然違和感のない街だ。私も過去にはずっとそうしていたし、現在も時々妻の作った弁当を食べている。

今まで生きて来た中で、最も孤立無援でどん底を経験したのも函館であった。毎日訳もわからないまま生きていた。本当にその日生きているのが不思議なくらいであった。朝目覚めると、あぁ、まだ生きていたんだな、とやっとわかるくらいだった。

街や風景は美しいのに、生きていくのは苦難が続く。まるで石川啄木みたいだが、とにかく私にとっての函館はそんな街だ。では、どうしてそんな街に戻ってきたのか?
別に私がマゾであるということではない。そんな傾向にはない、と自覚している。

函館は、手に掴もうと思っても、まるで砂のようにするりとすり抜けてこぼれてしまう。まるで、「お前が函館のことを理解するなんて100年早い」と言わんばかりである。追っかけても追っかけても姿をくらます街なのだ。
きっと、それも人生の忘れ物のひとつであったのだろう。まだ、函館を手に掴んだという感触は全くない。

函館に戻ろうと決意した時、ある覚悟を決めた。「この先、いかなることがあろうと、全てを函館に住んで受け留める」これもちょっと大袈裟であるが、私にとってはそれほどの決心がないと住むことができない街なのだ。
だが、そのくらい私にとって魅力のある街でもある。

少年時代に函館で見た、キラキラ光るもの。それをもう一度見てみたい。きっとそれは函館でなければ見ることができないものなのだ。だから戻って来た。だが、今のところまだ見ていない。
函館はそう簡単に望みを叶えてくれない。きっともっと苦しまなければ見せてくれないのかもしれない。だが、私も簡単に諦めるわけにはいかないのだ。

繰り返すが、これは私にとっての函館である。こんな大袈裟なことを考える必要もなく、楽しく暮している人もかなりいるだろう。それはそれでいい。いや、それが一番なんだ。


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by jhm-in-hakodate | 2011-07-04 23:06 | 函館で出会ったもの | Trackback | Comments(10)
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Commented by たかさごや at 2011-07-04 23:20 x
 函館のご出身なのですね?

 他所の街から来た私のような人間からは、撮られているお写真のように、魅力的な面ばかりが印象的な函館です。
 しかし、長く生活している人々の多くは愛憎交々という思いで生活されているようにも感じます。

 佐藤泰志さんがその代表でしょうか。

 様々なファクターがあるでしょうが、“生活者”にも魅力的な街にしたいですね。
Commented by hidemaro2005 at 2011-07-04 23:38
こんばんは
私も以前自分のブログでも同じような内容の事を書いてもいましたが、函館生まれの私も実は実際に「函館市民」でいたのは人生の3分の1にも満たないかも知れません。函館圏には住んでいるものの、勤務先もなかなか「函館市」には戻れない感じですが、いつも、「次のステップのための生活」をしていた時が函館市民だったのであると思っています。たしかに辛いことの方が多かったです。だから、そういう町なんでしょう。そう考えることにしました。生活感たっぷりなくせに生活感がまるでないそんなイイフリコキな函館は、私が愛してやまない一面です。
Commented by izumi at 2011-07-04 23:39 x
うーん、覚悟を決めたら、今日の日記はなかったんじゃないのかなあ?
なにか、最近ブレそうなことがあったのですか?
函館は統計上北海道で二番目の豊かな街なんですって?その根拠は貯蓄高のみですが。
答えは簡単、公務員の数が半端なく多いですもんね。地方公務員、国家公務員。港湾があるから出先機関も多い、生徒は少ないのに誰も誰かをきることができなくて教員は減らせない。
市職員がなぜかエリート意識を持つ街もこれまたおかしいわけで、基幹産業がない、ということを露呈してますね。公僕はその街の収入クラスの丁度真ん中が理想ですね。高級官僚をのぞいて。
函館の観光はプロのそれではありませんから、いつまでたっても札幌に行く途中の一泊、東京に帰る途中の半日、というのにとどまっています。
自分たちで稼ぐ産業無しで、行政もそれを危機感無しに静観しているだけで、40代で年収900万、定年時の退職金4000万はもらいすぎでしょ?
ずっと中にいると、そういうのがわからず過ごすんですよねえ、市職員は高給取りだっておもっちゃって。

Commented by gokuriapple at 2011-07-05 21:28 x
故郷という地を持つ人々は、多かれ少なかれ故郷の地にこうした思いを持つのではないでしょうか?
それでもいつか帰る場所として故郷を持つ人が羨ましいです。

 ぜんぜんjhmさんの意図と違っていたらごめんなさい。 
Commented by jhm-in-hakodate at 2011-07-06 00:48
たかさごや様、函館には他の街のどこにもないくらい素敵な面と、どこにもないくらい嫌な面が同居しています。
でも、それはきっと、単なる友人であれば上手く付き合えるけど、恋人や家族になったら喧嘩ばかりしている。そんな関係なのかもしれません。だからと言って別れられない関係なんですね。
Commented by jhm-in-hakodate at 2011-07-06 00:55
hidemaro2005 様もそうでしたね。私も、函館で苦しみ、転勤で離れると色々な事が良い方向へ向かう。そんな繰り返しでした。
でも、今回は離れるつもりはありません。さて、どうすべきか。やってみるしかないということですね。
Commented by jhm-in-hakodate at 2011-07-06 01:00
izumi様、鋭い所を突かれました(笑)現在の状況は確かに芳しくありません。まぁ、ちょっと愚痴って、自分に言い聞かせていると思ってください。
izumi様の話を読むと、余計に函館は「搾取の街」という気がしてしまいます。まるで大昔のような、一部の人間の富のために働いているような・・・。だから会社に使われるのが嫌で独立する人が多いのでしょうか?そのために大きくなれない企業がたくさんあるのですがね。
Commented by jhm-in-hakodate at 2011-07-06 01:05
gokuriapple様、確かに故郷だからそう思うのかもしれません。でも収入は故郷だからというものとは関係ないと思いますので、どうなのでしょうか。
まぁ、色々なものが混じり合っているのは確かだと思いますが、きっとそれは私のような一部の人間だけが思っているのかもしれません。
Commented by ayrton_7 at 2011-07-06 14:27
試練の街であることに気づいていない政策決定者がいることが問題であります。
彼らは、自分がその地位に居る間、自分たちが満足できる生活が出来ることしか考えていません。
Commented by jhm-in-hakodate at 2011-07-06 23:50
ayrton_7様、政策決定者だけではなく、社会的地位を持った人間の中にもそのような者が多くいるのではないでしょうか。
自分の富の維持のためなら、市民全体のことなどどうでもいいという人、それは収入に対する家賃の割合でよくわかることです。