ルームNo.318

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言葉が髪の毛にからみ 指ですいても宙に散らばらない
君がいるバスルームと 僕のソファの間には川が
時をもてあそぶように 輝く光で濁っている
君はバスタブでワインを傾け 僕は1932年のタイプライターを探している
考えることはない 夜は始まったばかりだ ルーム318で

君がストッキングを脱いだ時に すぐに気付くべきだった
モルスの深い溜息が 君のひざで笑っているのを
君はおかまいもなしに 指輪を抜き取り
さいはての薔薇を観るためには 誰を乗り換えたらいいのかと訊く
何も始まってはいない 夜が過ぎ行くだけだ ルーム318で

窓のカーテンを開け 稲妻のブロンズ像がきれい
ガラスに当たる雨が 私たちみたいだと君は言う
煙草に火をつけると 街は全部君のもの
望遠鏡で空を見るのではなく 顕微鏡で地球を見ようとする君に
オペレーターが忠告する 夜が襲いますよ ルーム318を

安物のジンを1本空け 僕の夜は深い海の底に向かう
何も始まってないから いつまでも何も終わらない
それを知っていたかのように 君は身支度をする
旅に途中があるわけがない 全部目的地で全部旅立ちの場所だ
夜が明けたら南に向かう もう二度と来ることはない ルーム318には



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by jhm-in-hakodate | 2011-10-02 23:54 | その他雑感 | Trackback | Comments(0)