舘野泉 「左手の音楽祭」 in 厚沢部
10/23、厚沢部町の旧清和小学校体育館で、ピアニスト舘野泉さんのコンサートが開催された。
私は元々行く予定ではなく、また、それどころか舘野泉さんという音楽家も知らなかった。たまたま偶然に行く機会に恵まれ、開催前に少しだけ舘野さんについて調べてみた。
1936年11月東京生まれで、母方は明治維新まで仙台藩の能楽を司っていた家系にあるそうだ。中・高と慶應義塾で学び、大学は東京藝術大学音楽部ピアノ科に進み主席で卒業したそうだ。まさしく生まれながらにエリートコースを歩むべくした歩んだ方だそうだ。
その後世界的なピアニストとして活動していたが、2002年1月脳溢血によって右半身に後遺症が残ってしまい、両手での演奏が出来なくなったしまった。しかし、療養後に左手だけで演奏すること練習を開始。現在は左手一本で演奏を披露している。
私は、演奏中はめを瞑って聴こうと決めた。ハンディを負っての演奏という概念を捨て、ただ音楽に集中しようとするためだ。
だが、そんな考えは全く愚かなことだった。
舘野さんの奏でるピアノソロは、全く違和感なく、普通のピアノ演奏と同じに聴こえた。普通のというのは、両手を使ってという意味だ。そして。目を瞑っていると、良質な音楽に包まれた時に自然と描かれる、幾つもの風景が私の頭の中を駆け巡った。
片手なのに凄い、などとは考えずに、素直に素晴しい音楽を聴いたと感じた。何重にも連なる音の層が目の前のピアノから響いてくる。きれいにカットされたリズムと長めの余韻が入り混じり、それは魔術のようだった。
曲を演奏する前に、簡単なトーク(あるいは曲の紹介)があったが、最後まで片手の力を失ったことは話さなかった。そんな必要はなかった。素晴しい演奏がそこにあれば、それだけで全てを説得できる。
演奏の最中に、風邪をひいている子ともが何度か咳をしたが、それはたいして気にならなかった。それよりも観客の衣擦れの音の方が耳障りだった。まるでレコードに埃が付いてざらざらという音を発して、本来の演奏の邪魔をしているかのようだった。
それほど演奏を聴くことに集中できたし、また、惹き込まれたのも事実だ。
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私も昔は楽器を吹いてましたが
素晴らしい音は、ホントにそれだけで心が動きますよね
最近、そんな音楽に出会えてないなぁ
たまには生の一流の音楽を聴きに行きたいです
意外と身近なところにいい音楽があるかもしれませんよ。