デザインという性能~カンディハウス

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ニトリにしか縁がない私にとっては遠い存在の家具を製造販売している「CONDEHOUSE(カンディハウス)」という企業が旭川にある。とても手が届かない高級家具だ。
いわゆるゴージャスだけど品がないものではなく、シンプルだが洗練されたデザインであり、質の良さが誰が見てもわかるような家具を作っている。

旭川と言えば日本でも有数の家具産地である。北海道の良質な木材を使い、婚礼家具などの高級家具を製造し、旭川の基幹産業のひとつとして隆盛を誇っていた。ところが、バブル崩壊後、ニトリなどの廉価な家具販売会社の台頭と生活様式・婚礼形態の変化によって、高級婚礼家具の需要は激減した。その結果、地元の大手家具製造会社とそこを支援していた道内最大手の家具卸会社が相次いで倒産した。
その時の経営者の言葉は象徴的であった。

「いいものを作っていれば売れると思っていた」

その激動の時代よりもずっと前、1968年に当時の家具界の常識とは一線を画した企業が旭川で産声を上げた。それがカンディハウスであった。(発足当時は㈱インテリアセンター)
創業者は当初から、「これからの家具はデザインだ」と熱く主張していたという。まだ昔から変わらぬデザインで、高級感が重要視されていた時代に、カンディハウスは欧州のデザインを取り入れた家具を製造した。ところが、地元の業界では異端児扱いを受け、おまけに販売を卸売業者を通さず、直に百貨店などに納入する方式をとると、旭川の家具業界から完全に孤立した存在となってしまった。

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だが、創業者の眼は確かだった。日本人の生活様式が大きく変わり、婚礼家具というスタイルにこだわらずに、生活空間にマッチするものを選択するようになると、カンディハウスの洗練されたデザインは富裕層を中心に受け入れられ、今では札幌・東京・名古屋・大阪・福岡などの全国主要都市とアメリカ・ドイツに店舗を持つまでとなった。
そして、当初は異端児扱いされた旭川の家具業界の中で、今やリーダーという存在となっている。ひょっとしたら、この世から「家具の街・旭川」という言葉がなくなっていたかもしれない危機を、異端児が救ったのだった。

カンディハウスの挑戦はデザインだけではなかった。自分たちが求めるデザインで製作するために、それまでの家具製造技術では不可能だった技術を革新し、新たな製造技術を3度も開発したのだった。製品の材料となる木材の選択はもちろんのこと、デザインの実現のためには技術までデザインしたのであった。

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似たような例にホンダの車がある。かなり古い話で恐縮だが、初代のシティのデザインを製作したスタッフが役員たちにお披露目した時、こんな質問があったという。
「いい形だね。それで、エンジンはどこに入るの?」
役員が想像もできないほど、エンジンルームは小さかった。そのデザインで実際に車としての性能を発揮するためには新たなエンジンが必要だった。ところが、何とか小さなルームに収まっただけではなく、そのエンジンは小気味のいい優れたものだった。

私はこの初代シティに20代の頃乗っていた。そして、勾配のきつい日勝峠の上り坂で、貨物の重量のために前をノロノロ走る大型トラックをシフトダウンもせずに、5速で一気に追い越すことができた。それほどの高性能のエンジンだった。そして、この時、リッターあたり19.8㎞という、当時では信じられない燃費を記録した。

デザインは性能を要求する。また、性能はデザインを要求する。

20代の頃、勉強して少しだけわかったことがあった。だが、その考えは今でも変わらない。それは、

いいものはいい形をしている

ということを学んだ。



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by jhm-in-hakodate | 2013-03-23 01:09 | その他雑感 | Trackback | Comments(1)
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Commented by 能天気 at 2013-03-23 11:14 x
 久々に共感できる文章ですね。
『異端妄説』と言う言葉があります。今までの常識と違った考え方を言うと、人は、『異端妄説』と言います。しかし、その考え方が、支持される様になると、それを人は、革新的と言います。革新のスタートは、常に『異端妄説』です。