雪国

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今日、今シーズン2度目の本格的な積雪となる雪が降った。前回は初雪らしく湿った雪であったが、今日の雪は、もう冬なんだからこのくらい降って当たり前だろう、と言わんばかりの断続的な降雪であった。

雪国

何となく、この言葉は今の北海道には似合わない。そんな気がしている。

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若い時、札幌でひとり暮らしをしていた頃、寂しかった。そして冬は寒かった。まだ街中の暖房施設が十分ではなかった当時は、いくら酒を飲んでも、外に出て少し歩くと酔いが醒めそうになるほどの厳しい寒さと付き合わなければならなかった。

そんな時、こってりとした濃い噌味の札幌ラーメンが体を芯から温めてくれた。
昔ほど移動に寒さを体感する必要のなくなった街の、今の札幌味噌ラーメンは味が薄くなった。昔を知っている者にとってはどこか物足りない。


寒かったから、寄り添って歩いた。吹雪の街を女の子と歩いている時、雪と寒さからお互いを守るために、彼女にくっついてもとても自然だった。それでなければならない気がした。

寒かったから、人は暖かかった。みんな田舎者だった。寒さに加え寂しさが体を襲った。だから、人に優しくしようとしていた。自分も温かくなりたかった。でも、快適な環境の大都会となった今は、人が暖かくなる必要はなくなった。

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部屋に電話がなかったアパートに住んでいた頃、公衆電話が大切な場所のひとつだった。
市内にかけるのに100円玉を用意した。女の子への電話だった。吹き溜まりになって開けづらくなった扉を力づくで開け、寒さに体を震わしながら会話をした。
最初は10円玉でかけた。特別な話があったわけではなく、ただ声を聞きたかったからかけた電話だったから、そのうち話題が無くなり沈黙が続く。静かな電話ボックスに10円玉がカチャと落ちる音が響く。何枚か落ちると100円玉を思い切って入れる。

特別何もない時間が続く。でも、彼女もそれじゃね、とは言わなかった。必死になって話題を探す。そのうち指が赤くなり、足が震えて来る。顔に近くにあるガラスは息で曇っている。
そんな凍える電話ボックスでも、心は暖かくなった。

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厳しい寒さの街を歩くと、家の灯がこの上なく暖かく感じた。そこには人の温もりがある。
でも、冷え切った自分の部屋に戻り、ストーブに火を点け、電気コタツの中に潜ると、そのまま眠ってしまうことが何度もあった。コートを着たまま寝てしまったことがあった。それほど寒かった、身も心も。


雪国


想い出の場面にだけ出てくる言葉。
今私はどこに住んでいるのだろうか?



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by jhm-in-hakodate | 2013-11-28 23:18 | その他雑感 | Trackback | Comments(0)