くい打ちだけではない、業界の仕組

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今、新聞やニュースで盛んに報道されているくい打ちデータ改ざん問題だが、このようなことが発覚すると、すぐその業者全てに疑惑の目が向けられる。それは、ある意味仕方のないことであるし、徹底追及も必要と思われます。

しかし、日本の「世論代表的マスコミ」は、最初三井不動産レジテンシャルについて疑惑を持ち、次に建設会社である三井住友建設へ視線が、次にくい打ち工事を担当した旭化成の子会社旭化成建材へく疑惑の目を移し、さらにその担当者が関与した物件にまで絞った報道が紙面や画面を賑わしている。

このような事件が発覚した時はいつもそうだが、最後は1個人だけに焦点を合わせるかのようにして、いつしか1個人が全ての「犯人」という思考に日本人は移り変わってしまう。そして、元々の三井不動産については疑惑の目が向けられなくなってしまう。実際、この頃の報道で、三井不動産の過去の建築物件について全物件の徹底調査を行うのかどうかということについて触れられることはない。

つまり、国民の目を、「実行犯」探しに向けさせて、大元である三井への逆風を少しでも和らげようとしてと画策しているのではないかという疑問を、国民は不思議に思わなくなってしまうということだ。
だが、ここでよく考えてみたい。今回のような大規模なマンション建設は、計画を立てる段階で、販売費をいくらに設定するか、それによって建築費発注額をいくらにするか、そのようなことは順番に決まって行くものなのだ。なぜなら、マンション販売利益とうものは大手になればなるほど死守しなければならないものだからだ。

そして、販売活動は建築確認申請の許可が下りた時から開始できるため、当然工事未着工でも販売価格を公表して募集をかけることになる。そうなると、仮に着工後に実際の打たなければならないくいの深度が予定よりも深かったとしても、工事費用の増加によって販売価格を上げることなど絶対にできない。
そうなると、どうしたらいいのか?分譲会社あるいは建設会社の利益を削るか、それができなければ、発注金額の中で工事をするしかない、ということになる。

今回の横浜のマンションの工事のそのような部分での仕組みがどうだったかはわからないし、報道さえされないかもしれない。だがら前述の仕組がそのまま当てはまるかどうかはわからないが、だからこそ、「実行犯」探しをするより、全体の体質・仕組を検証する必要があるのではないかと考える。

ちなみにこの構造は、某全国展開の中古住宅販売会社も似たようなことが行われているのだ。販売価格からリフォーム発注金額と物件取得金額を差し引いた「粗利益」を守るために、発注金額を極力抑える。それが工事業者にはきつい。どうやって利益を出したらいいか。あるクロス業者は、貼った後に残った別々のクロスを玄関の天井につぎはぎに貼ったということもあったそうだ。

建築業界だけではないだろう。色々な業界でこのような仕組のやりとりが成されているのではないかと思う。
ある食肉加工業者は、ストックしてあった冷凍ウインナー(通常に冷蔵で販売されているウインナー類の賞味期限が切れても、冷凍しておけばその後1年くらいは普通に食べることができる)を冷凍後1年をはるかに超えてただ同然になった物を注文して、職場に届けられる弁当の食材の一部として使用していた。

結局そうなのだ。安くて良質な物を提供するのは現実的には困難なことなのだ。よく住宅業界で言われることだが、値段は安くすることはいくらでもできる。その代わり品質もそれなりのものに必然的になってしまう。そんなものだと思う。

もし、本当に良質で安価なものがあったとしたら、それはその製造会社の従業員の給料が低いか、相当なコストカットの技術をもっているかのどちらかだ。もし前者の場合であれば、当然従業員の消費力は小さく、そういう企業が多くなればなるほど、見た目安い商品を生産しなければならなくなる。そうなると、その企業の従業員の給料は低くなる。結局そんなスパイラルからまだ私たちは脱却できいないのではないかと思う。

仕事に対して真面目で良質な仕事を完成させたいと思えば、当然費用はかかるものだ。真面目な人はそれをやりたいと願うだろう。しかし、現状はそんなわけにはいかない。結局、食べて行くためにもどこかで妥協しなければならなくになる。そういう構造から誕生したのがデータ偽装という可能性も充分あるのではないかと思います。

次回は、もっと恐ろしいコンビニの仕組についてお話しします。


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by jhm-in-hakodate | 2015-10-31 00:04 | 社会・経済について | Trackback | Comments(0)