元上司の背中~仕事のできる男

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先日教育大学函館校で、西本伸顕さん(ふらのまちづくり株式会社代表取締役)の講演があった。
正直言って、この講演があることを全く知らなかった。ところがある日、知人である北海道大学水産学部准教授の松石隆さんから、「函館に来ますよ」というメールをいただき、これは絶対にはずせないと、当日をとても楽しみにしておりました。

この西本さん、実は私のリクルート時代の上司であった方なのです。
はい、それはもう仕事はできました。そして多くの人に好かれました。私もその一人でした。
男が惚れる男、と言っても過言ではありません。外見の問題ではないのです。やっている仕事がかっこいいのです。誰もが納得するようにスタッフの意見をまとめ、あるいは納得するような指針を示し、次の仕事に向って行く。その姿に職場の人間からとても敬愛されていました。

背中をまげてがに股で歩く独特の姿もなぜかカッコよく見えて、夕方近くなると、綿100%のオックスフードシャツに仕事でできた皺が、激務で自然に出来た仕事の後足のように見えて、これもまた似合っていたのでした。
私が綿100%のワイシャツをいまだに着ているのは、はっきり言って西本さんの影響です。ワイシャツにいい皺ができたら、その日はいい仕事ができたのかもしれないという、変な自己満足を与えてくれる皺。

そんな元上司に約30年ぶり以上に顔を合わせることができた。

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西本さんがリクルートを退職することが分かったのは突然だった。ある日の朝礼で突然退職の辞を述べたのでした。このまま会社にいれば、間違いなく上に上がって行くような能力を持った人間がどうして?そんな疑問しか浮かびませんでした。しかし、その時の説明では、実家富良野の農業系の会社の手伝いをしなければならなくなった、というのが退職の理由だったと記憶している。

でも、こ方は、富良野の小さな会社だけにおさまっている人ではないはずだ。若くて未熟な私にもそんなことを考えさせてくれる方だった。
それが、今では富良野に観光客を200万人呼び込んだ仕掛け人のひとりであったとわかっても、西本さんならやるでしょう、という当然の感想を持ったくらいでした。

ただ、今回の公演の中で最も心にグサッときたのが、「評論家になってはいけない、行動する者になれ」という言葉でした。
私を含め、函館には夥しい数の「評論家」がおります。ちょっとしたことに批判を集中させ、それによって自分の立ち位置を確保しようとする人々。でも、自らはそれほど動かない。
こらような実態を知るにしたがって、私は函館を論じることを控えるようになりました。語るのではなく、自分に何ができるか、何をしなければならないか、そちらの方を考えるようになりました。でも、やはり考えているだけだったんですね。

西本さんは、自ら動いて、人口がたったの2万3千人の都市の寂れてしまうかもしれない駅前地区を見事に変えてしまったのです。人が集まるようにすればいい。観光客というのは、人が集まっているところに行く傾向にあるから、と大学の先生に教えられ、それを実践しました。
「人が集まる場所」というのは「地元民が集まる場所」でなければならない。それがなければ運営が成り立たない。よく考えてみると当然のことです。

人口28万人の都市で観光客が484万人(平成26年度)訪れているという実感を、はたして函館市民は持っているでしょうか?そして、その観光客方々が訪れているのは、人が集まらない場所なのです。だから富良野のように人口の100倍の観光客数にはならないのではないかと思います。
あと、そのような地元を元気になってもらおうと活動している人は、ほとんど出戻り組だそうです。昔からの地元民はなかなか腰を上げないそうでした。外から見える自分の街、これは最も函館市民に欠けている見方だと思っています。
函館のことについて語るのは、今後も少ないままだと思います。行動できなければいくら話しても仕方ないのですから。

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左が、西本伸顕さん、右が松石隆さん。見事に顔に焦点が合わない失敗写真でした。面目ない。



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by jhm-in-hakodate | 2016-04-25 00:42 | 函館の現状について | Trackback | Comments(0)