猫と私の物語

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大黒通りの猫

今日の話題は大反発を招くことを恐れずに書かねばならない。

結論から言おう。ペットは家族の一員でもなければ、生きている玩具でもない。猫は猫であり、犬は犬である。それ以上でもそれ以下でもない。もし、一緒に暮らすことがあるとしたら、それはあくまで共同生活であって、それぞれの意志と生き方を尊重すべきである。

私がこんな考え方となった出来事があった。猫と私の物語だ。

今から約30年前、私は札幌に住み、いやゆるプータローであった。よく言えばフリーターの空白期間だったが、けっこう気ままな生活をしていたには違いなかった。当時住んでいたアパートは考えられないようなレトロな設備を有するもので、北大生や私のような貧乏人しか住む者はいなかった。だからプータローができたわけだが、そんな夏のある日の出来事だった。

その日の何ヶ月前からか、よく私の部屋の下に猫がやって来るようになった。猫からすると単なる散策の途中だったのかもしれないし、それとも食糧探しだったのかもしれない。理由はわからないが、何度か顔を見合わすと可愛く思えてくるもので、たまには餌を与えるようになった。
それで気を良くしたのか、窓を開けていると、まず窓台に座り私の機嫌を窺い、入ってもいいよと話しかけると部屋の床に降り、ぺろぺろと舌で毛づくろいをした。私はしばらく猫の好きなようにさせ、黙ってその様子を見ているのが楽しい暇つぶしとなっていた。そのうち猫は私の部屋に飽きたら、おもむろにキッと窓の方を向き、何かの目的のために出かけるといった具合で窓から出て行く。
そんな日が続いてから暫くして、気が付くとパタッと顔を出さなくなった。それはそれで別に気にはならなかった。だいたい飼っていたわけでもないし、誰か他の家で飼われたのならそれでいい。そのくらいにしか気に留めていなかった。

ところがその日の午前、まだ眠たかったが暑さのため窓を開けて布団の中でボーとしていると、その猫が何かをくわえて真直ぐ私の部屋に入って来た。白っぽい物体だった。それが何なのか即座には判別できなかったが、私の目の前まで来た時にやっとわかった。それは、産まれたばかりでまだ眼が開いていない子猫だったのだ。
そうか!お前はメスだったのか。出産のためにどこかに行っていたのか。と、変な感動を覚えた。
さぁ、布団に入りな、と言って私は掛け布団を上げると、猫は子猫を口から離し、我が子の体をぺろぺろ舐め始めた。暫くして場が落ち着くと、突然猫は布団から出て窓を軽やかに飛び越し出て行ってしまった。
おいおい!この子猫だけ残して何て無責任な親だ。私がこの子猫を育てろというのか。そんなふうに私が怒りと狼狽が入り混じった思いでいると、少ししてから今度は黒い子猫をくわえてやって来た。
つまり、2匹産んだわけだ。白と黒の猫。はっきり言って白の方が可愛かった。母猫は私の好みを予想したのだろう。まず可愛い白猫を連れて来て私の機嫌を取り、次に、これでわかったでしょうと言わんばかりに黒を連れて来たのだ。なかなかの策士である。
私は仕方なく、猫親子を家に置くことにした。段ポール箱を切り抜き、即席の猫の家を作って幸せな家庭を作れよ、食事くらいは何とかするから、と母猫に言い聞かせた。

断っておくが、私は子猫の父親ではない。だから家族ではない。共同生活者だ。
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だいたい、生まれたばかりの子猫を人間に託す猫がいるなんて聞いたことがない。でも、これは本当の話だ。

その後暫くして、さすがに私も仕事をしなければならず、ずっと一緒にはいられなくなった。子猫も走り回るようになり部屋の中に閉じ込めておくのも可哀想と思い、仕事中は部屋の外に出すことにした。(当時住んでいたアパートは共同玄関であったため、ホールで遊んでいたことになる)そこを大家さん見つかり、とんでもないということで車でどこかに連れて行かれ、捨てられた。

これが猫と私の物語である。

反省すべき点は、子猫が走るようになった時に家族の自立を促すべきだったということだ。所詮猫社会と人間社会は違うのだ。人間社会に合わせようとさせても無理なのだ。

この時以来、家で共に暮らすべき猫や犬は、運命的に出会って互いの波長が合った同士でなければならないとの信念を持つこととなった。ペットショップから金で無理矢理連れ出してはいけない。ペットにはストレスが付きまとう。そんなのをお構いなしに人間は家族だとか、可愛いとか言って自分の都合に合わせようとする。
人間にはペットを選ぶことができるが、ペットショップで売られている犬猫には飼主を選ぶ自由は無い。
ドイツではあまりペットショップが無く、あっても厳格な審査のもとで許可が与えられるという。捨てられた犬を引き取ろうとする時は、何度もその犬と会って相性と大切に育てることができる飼主かどうかを試される。
それで当然だと思う。
by jhm-in-hakodate | 2010-02-14 00:26 | 函館で出会ったもの | Trackback | Comments(2)
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Commented by ayrton_7 at 2010-02-14 01:11
大黒通りに片眼の猫が居まして、大国屋さんの前にきては餌をねだっているのを見ます。
ところで大国屋さんの生春巻き、おすすめです笑
Commented by jhm-in-hakodate at 2010-02-14 22:40
片眼の猫は気付きませんでした。いかんせん、大黒通りから浜側は猫の歩行者天国のようで、日中は住民より猫の方が多いのではないかと思える時間帯もあります。今度観察してみます。
大黒屋さん、実は近すぎてなかなか行くことがないのです。自分でも反省しています。行ったら食べてみますね。